縁結・安産・育児・海上安全
鎮座地:宮崎県日南市大字宮浦3232
神門
楼門
境内
拝殿
拝殿
境内
霊石亀石
拝殿
皇子神社
御祭神
御祭神
鵜戸稲荷神社
恵比須神社
海の底から湧き上がるような静けさがある。鵜戸神宮に足を運んだとき、最初に感じたのはそれだった。
参道は崖を下る形で続いている。通常、神社は山の上や丘の上に鎮座するが、ここでは違う。岩肌を削った道の先、洞窟の奥に社殿がひっそりと佇む。朱塗りの本殿が、波音を背にして立つさまは、どこか現実から隔てられた結界のようでもある。
伝わるのは、海幸彦・山幸彦の神話。海の神の娘・豊玉姫が、出産のためにこの地に庵を結び、子を産み落としたという。男児は後の神武天皇の父となる。その逸話の中に、この地の神聖が根を張っている。
名物の「運玉投げ」は、岩の窪みに願いを込めて玉を投げ入れる。遊び心にも見えるが、そこには“海の神に託す”という古層の信仰が残っている。祈りとは、静かに行うだけではなく、時に手を動かし、身体で結ぶものなのかもしれない。
潮の香に包まれながら、社殿を振り返ると、そこに確かに“母性”が宿っていた。ただの神社ではない。生まれる場所、育まれる場所。その根源的な力を、海と風とともに感じる。鵜戸神宮は、祈りの原点に触れる場所だった。